商流とは|IT・SES業界の多重下請け構造を図で整理する
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- Qasica 編集部
商流は、エンドユーザーから実際に作業するエンジニアまでのあいだに、どの会社が何社入っているかを表す言葉です。SES の案件メールに ほぼ必ず書かれていて、条件が合わないと提案しても断られます。
商流とは
IT 業界でいう商流は、契約が何社を経由しているかです。 エンドユーザーが元請けに発注し、元請けが協力会社に出し、その協力会社がさらに別の会社に出す。 この連なりが商流で、段数が増えることを「商流が深い」と言います。
物流業界の商流との違い
「商流」で検索すると物流業界の解説が多く出てきますが、指しているものが違います。
| 物流業界 | IT・SES業界 | |
|---|---|---|
| 対になる言葉 | 物流(モノの流れ) | 特になし |
| 指すもの | 所有権とお金の流れ | 契約が経由する会社の数 |
| よく使う文脈 | 商物分離の説明 | 案件の受け入れ条件 |
この記事で扱うのは後者です。
商流の数え方
自社を 0 として、自社から先に何社あるかで数えます。
- 貴社まで — 案件を出す会社と直接契約している会社の社員のみ。間に会社を挟まない
- 1社先まで — その会社の協力会社の社員まで受け入れる
- 2社先まで — さらにその先まで受け入れる
注意が必要なのは、会社によって数え方が違うことです。 「1社先まで」を「自社+協力会社」と読む会社もあれば、「協力会社のさらに先」と読む会社もあります。 案件メールの文面だけで判断せず、初取引なら一度確認してください。
実データで見る商流の分布
Qasica に蓄積された案件データ(195,212件のうち、商流の記載があった 147,253件)を集計すると、 分布はかなり偏っています。
| 商流の条件 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 貴社まで | 136,702 | 92.8% |
| 1社先まで | 2,551 | 1.7% |
| 2社先まで | 198 | 0.1% |
| その他・個別記載 | 7,802 | 5.3% |
商流を指定している案件の 9 割以上が「貴社まで」です。 つまり、間に会社を挟んだ提案はそもそも受け付けられないケースが大半で、 商流条件は「努力すれば通る条件」ではなく足切り条件として機能しています。
要員側も見てみます。所属の記載がある要員のうち、
- 自社の社員:113,104件(67.5%)
- 1社先の会社の社員:45,966件(27.4%)
- グループ会社:7,182件(4.3%)
提案される要員の約 3 割は、間に会社が 1 社入っています。案件の 9 割が「貴社まで」であることと合わせると、 この 3 割は提案できる案件が構造的に限られる、ということになります。
集計日 2026年9月20日。単価や商流の表記は案件メールの記載をもとにしているため、 表記ゆれや未記入が含まれます。
商流が深くなると何が起きるか
単価が下がる
間に入る会社はそれぞれマージンを取ります。エンドユーザーが 100 万円で発注していても、 2 社挟めばエンジニアの所属会社に入るのは 70〜80 万円台になることがあります。 同じ人が同じ仕事をしても、商流の位置で金額が変わります。
情報が劣化する
案件情報が転送されるたびに、必須スキルや作業内容の記述が削られたり、 営業の要約に置き換わったりします。商流が深い案件ほど、 面談してから「聞いていた話と違う」が起きやすくなります。
法令上のリスクが上がる
商流の深さ自体は違法ではありません。準委任契約が連なっている限り、多重下請けは禁止されていません。 問題になるのは形式ではなく実態のほうで、指揮命令が契約と食い違えば 偽装請負に、労働者派遣の形で会社を挟めば二重派遣にあたります。
商流を確認するときの聞き方
案件を受けるとき、次の 3 つを確認しておくと後の手戻りが減ります。
- 「貴社まで」の起点はどこか — 誰を 0 社目と数えているか
- エンドユーザーは誰か(社名まで出なくても業種と規模) — 間に何社入っているかの見当がつきます
- 指揮命令は誰が行うか — ここが契約と食い違うと、商流以前に契約形態の問題になります
よくある質問
「商流が深い」とはどういう意味ですか?
エンドユーザー(実際に開発を発注した企業)と、実際に作業するエンジニアの所属会社との間に、仲介する会社が多く入っている状態を指します。間に入る会社が増えるほど、各社の取り分が引かれてエンジニアに渡る金額が下がります。
「2社先まで」とはどこまでを指しますか?
自社から数えて2社先までの会社に所属する要員を受け入れる、という意味です。自社の社員が0社、協力会社の社員が1社先、その協力会社がさらに使っている会社の社員が2社先です。会社によって数え方が違うことがあるので、契約前に必ず確認してください。
商流が深いと違法ですか?
商流の深さ自体は違法ではありません。準委任契約が連なっている限り、多重下請け自体は禁止されていません。違法になるのは、労働者派遣の形で間に会社が入る二重派遣や、指揮命令の実態が契約と異なる偽装請負です。
なぜ案件側は商流を絞るのですか?
指揮命令や情報管理の責任範囲を明確にするためと、間で単価が抜かれて実際に来るエンジニアの質が下がるのを避けるためです。
商流条件で弾かれる提案を減らす
商流は足切り条件なので、提案前に合致しているかを機械的に判定できると、無駄な提案が減ります。 Qasica は案件メールから商流条件を読み取り、手元の要員の所属と突き合わせて候補を絞り込みます。