契約・法務

請負契約と準委任契約、どちらで契約すべきか|判断の分かれ目

#契約#請負#準委任
公開
読了
7
執筆
Qasica 編集部

業務委託の契約を結ぶとき、請負にするか準委任にするかで迷うことがあります。判断の分かれ目は1つだけで、「仕事の完成を約束できるか」です。この記事では、そこから逆算して選び方を整理します。

準委任契約そのものの解説は準委任契約とはにまとめています。 この記事はどちらを選ぶかの判断に絞ります。

判断は「完成義務を負えるか」

請負は仕事の完成を約束する契約です(民法632条)。 準委任は事務の処理を委託する契約で、負うのは善管注意義務であり完成義務ではありません。

つまり何を作るかが事前に確定していて、それを作り切れると約束できるなら請負、 そうでないなら準委任です。この1点で大半は決まります。

選び方のフロー

  1. 01

    成果物が事前に明確に定義できるか

    はい → 次へ / いいえ → 準委任

  2. 02

    その成果物の完成を約束できるか(要件が動かないか)

    はい → 次へ / いいえ → 準委任

  3. 03

    完成しなければ報酬を受け取らない前提でよいか

    はい → 請負 / いいえ → 準委任(成果完成型も検討)

3つすべてに「はい」と答えられるときだけ請負が成立する。

4点の違い

請負契約準委任契約
完成義務負う負わない(履行割合型の場合)
報酬の発生仕事の完成に対して業務の遂行に対して
契約不適合責任負う原則として負わない
印紙第2号文書として必要原則不要(第7号文書に該当すれば4,000円)

印紙の扱いは見落とされがちです。準委任なら原則不要ですが、 継続的な取引の基本となる契約書にあたる場合は第7号文書として4,000円が必要になります。

印紙税の出典:国税庁 No.7102 請負に関する契約書(2026年9月20日確認)。 個別の判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

ケース別の選択

ケース適した契約理由
要件定義済みの機能開発、納品物が明確請負完成義務を負える。検収基準を書ける
アジャイル開発、要件が動く準委任完成を約束できない。工数で精算する
運用保守、障害対応準委任完成という概念がない
技術調査、PoC準委任結果が出ないこともある
SESでの常駐準委任業界の一般的な形。ただし指揮命令の線引きに注意
デザイン制作、納品形式が決まっている請負成果物を定義できる

契約書でありがちな事故

表題は準委任、中身は請負

契約類型はタイトルではなく条文で決まります。 「準委任契約書」という表題でも、検収条項や契約不適合責任の条項が入っていれば 請負として扱われる可能性があります。

成果完成型の条項に気付かない

2020年施行の改正民法で、準委任に成果完成型(民法648条の2)が明文化されました。 こちらを選ぶと成果が得られなければ原則として報酬は発生しません。 「準委任だから工数で払われる」と思い込んでいると想定が崩れます。報酬条項を必ず読んでください。

精算幅が書かれていない

準委任で工数精算する場合、下限・上限時間と、超過・不足時の単価が必要です。 ここが空だと、月末に毎回もめます。

指揮命令の条項がない

とくに常駐を伴う準委任では、自社の責任者を明記しないと偽装請負と判断されるリスクが上がります。

本記事は一般的な情報の整理であり法的助言ではありません。 個別の契約については弁護士にご相談ください。

よくある質問

業務委託契約は請負と準委任のどちらですか?

「業務委託契約」は法律上の契約類型ではなく実務上の呼び名で、中身は請負契約か委任・準委任契約のどちらかになります。タイトルではなく条文の中身、とくに「仕事の完成」を約束しているかどうかで判断されます。

要件が固まっていない開発はどちらが適していますか?

準委任が適しています。請負にすると受託側は完成義務を負うため、要件が動くリスクを見積もりに織り込む必要があり、結果的に高くなるか、変更のたびに追加費用の交渉が発生します。

準委任にすれば契約不適合責任を負わずに済みますか?

原則として負いませんが、契約書に契約不適合責任に相当する条項が入っていればそれに従います。契約類型の名称ではなく条文で決まるため、準委任という表題でも請負相当の責任が書かれていないか確認してください。

案件ごとの契約条件を取り違えない

Qasica は案件メールから契約形態・商流・精算幅などの条件を読み取って構造化し、 条件の合わない提案を先に弾きます。

関連記事:準委任契約とは / 偽装請負とは

資料請求・相談はこちら

ほかの記事