営業・実務

案件・要員情報の取り扱い|どこまで転送してよいか

#実務#情報管理
公開
読了
約6分
執筆
Qasica 編集部
目次(5節)
  1. 012種類の情報を分けて考える
  2. 02案件情報をどこまで転送してよいか
  3. 03要員情報と個人情報
  4. 04実務での線の引き方
  5. 05ツールに入れるときの確認

SES営業は、他社の商売の中身と、個人の経歴を毎日扱います。 どちらも「うっかり流す」と取り返しがつきません。 実務で迷う場面を整理します。

本記事は一般的な整理であり法的助言ではありません。 個別の判断は自社の契約書を確認のうえ、弁護士にご相談ください。

2種類の情報を分けて考える

案件情報要員情報
中身他社の商売・システムの情報個人の経歴・属性
守る根拠NDA・取引基本契約個人情報保護法・本人との合意
漏れたときの相手取引先(場合によりエンドユーザー)本人
実務での扱い転送範囲を契約で確認イニシャル化・同意の取得

混ぜて考えると判断を誤ります。案件情報は契約の問題、要員情報は法律と本人の問題です。

案件情報をどこまで転送してよいか

案件メールには、開示範囲に差がある情報が混在しています。

  • エンドユーザー名 — 最も制限が強い。伏せる運用が一般的
  • 業種・システムの概要 — 提案に必要なので出すことが多い
  • 単価 — そのまま転送すると自社のマージンが見えます
  • 必須スキル・工程・勤務形態 — 提案判断に必要な部分

単価の扱いは実務上とくに注意が要ります。案件をそのまま転送すると、間に入る会社の取り分が相手に分かります。 実データでは、同じ経験5〜10年でも1社挟むと発注側の支払いが約5万円上がります (多重下請け構造)。

要員情報と個人情報

スキルシートは個人情報です。氏名が無くても、年齢・所属・経歴の組み合わせで 個人が特定できる場合があります。

  • 第三者提供には本人の同意が要る — 提案先ごとに取るのが原則です
  • 提案の範囲をあらかじめ合意しておく — 都度の同意が煩雑な場合の一般的な運用
  • イニシャル提案 — 必要最小限にする観点でも合理的
  • 不要になったら削除する — 提案が流れた要員のシートを持ち続けない

実務での線の引き方

  1. 転送する前に、契約書の秘密保持条項を確認する — 「第三者への開示禁止」が入っていれば、協力会社への転送も第三者提供にあたります
  2. 転送するときは必要な部分だけを書き直す — 原文をそのまま流さない。エンドユーザー名と単価は落とす
  3. 要員のシートは、提案先が決まってから送る — 「とりあえず見せる」を繰り返すと、同意の範囲を超えます
  4. グループチャットに貼らない — LINE グループなどは参加者の範囲が変わります。誰が見られるかを把握できない場所に置かない
  5. 退職者のアクセスを切る — 案件・要員情報にアクセスできるアカウントを残さない

ツールに入れるときの確認

案件情報や要員情報をツールに入れる場合、 そのツール自体が第三者提供にあたらないかを確認する必要があります。

  1. データの保存先(国・リージョン)
  2. 他社との分離がどこで担保されているか
  3. 外部のAPIにテキストが出るか — 出るなら、どの処理で、どこへ
  4. その外部APIが有料ティアか — 無料枠は学習対象になる場合があります
  5. 誰が何を見たかを追える監査ログがあるか

Qasica 自身についての回答はデータの取り扱いに書いています。 同じ観点で他社ツールも比較できるはずです。

よくある質問

受け取った案件メールを協力会社にそのまま転送してよいですか?

NDA の範囲によります。多くのSES取引では、案件情報の第三者開示に制限が付いています。エンドユーザー名や具体的なシステム名が入っている場合はとくに注意が必要です。転送する前に、開示してよい範囲が契約で定められているかを確認してください。

要員の氏名を出さずに提案してよいですか?

実務ではイニシャル提案が広く行われています。個人情報を必要最小限にする観点でも合理的です。氏名が無くても、年齢・経験年数・スキル・稼働可能日が揃っていれば提案は進みます。

スキルシートを本人の同意なく他社に送ってよいですか?

いけません。スキルシートは個人情報であり、第三者提供には本人の同意が必要です。提案先が増えるたびに同意を取り直すのが煩雑な場合は、あらかじめ提案の範囲について同意を得ておく運用が一般的です。

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