勤務地はどこに偏っているか|関東14.6万件は6,973か所に散っている
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- Qasica 編集部
「関東の案件」とひとくくりにしても、通勤できるかどうかは駅で決まります。地域は極端に偏っているのに、地域の中の勤務地は驚くほど散っている——勤務地が書かれた案件 179,364 件を集計した結果です。
結論|偏っているのは地域、散っているのは勤務地
- 勤務地が書かれているのは 91.9%(179,364 / 195,223 件)
- 地域は 関東 81.2%、関西 13.1%。この2つで 94.3%
- 関東の 145,954 件は 6,973 種類の勤務地に散っている
- 上位10か所を足しても 関東 20.9% にしかならない(関西は 26.5%)
- 最多は 品川(4,730件)、次いで渋谷・豊洲。それでも1か所 3.2% 止まり
- 同じ関東で 大手町 90 万円 / 勝どき 63 万円と 27 万円の差
- 勤務地欄に「リモート」と書かれた案件が 21,021 件(11.7%)
「関東なら通える」は成り立ちません。関東の中だけで 7,000 か所近い勤務地があり、 しかも駅によって単価が 27 万円違います。
集計の条件
集計日 2026年9月22日/n 勤務地が書かれた案件 179,364 件 (うち地域も書かれているもの 179,018 件)。 単価を併記した数字は、さらに単価記載あり・20〜200万円に絞っています。除外:status が削除済みのもの、勤務地が未記載のもの(15,859 件)。 勤務地別の単価は 700 件以上ある勤務地のみを対象にしました。この数字で分からないこと:勤務地は案件メールの自由記述をそのまま保持しており、 表記を統合していません。「渋谷」と「渋谷駅」は別の値として数えられます(渋谷 4,645 件のほかに「渋谷駅」が 630 件あります)。 「浜松町 または 田町」のような複数指定も 1 つの値になるため、 種類数 6,973 は実際の勤務地の数ではなく、書き方の揺れを含んだ数です。 また、勤務地の単価差は工程・役割・技術を揃えていないので、場所そのものの効果ではなく、その場所に集まる案件の種類の差です。
地域の内訳
| 地域 | 案件数 | 割合 | 勤務地記載あり | 勤務地の種類 |
|---|---|---|---|---|
| 関東 | 158,490 | 81.2% | 145,954 | 6,973 |
| 関西 | 25,596 | 13.1% | 23,911 | 1,882 |
| 全国 | 4,733 | 2.4% | 4,272 | — |
| 中部 | 2,548 | 1.3% | 2,234 | 305 |
| 九州 | 1,231 | 0.6% | 1,110 | 127 |
| 東北 | 698 | 0.4% | 588 | — |
| 中国 | 502 | 0.3% | 444 | — |
| 北海道 | 438 | 0.2% | 403 | — |
関東が 81.2%、関西が 13.1%。 中部 1.3%、九州 0.6%、東北 0.4% と、それ以外はすべて 1% 台以下です。 需給の非対称については地域別のSES需給で扱っていますが、案件の流通量そのものが関東に集中しているのがこのデータの前提です。
「全国」4,733 件は勤務地を特定しない案件で、地理的な区分ではありません。 種類数は関東・関西・中部・九州についてのみ算出しました。
地域の中はどれだけ散っているか
勤務地を多い順に並べて、上位何か所で地域全体の何割を占めるかを見ます。
| 範囲 | 関東 | 関西 |
|---|---|---|
| 上位1か所 | 3.2% | 4.5% |
| 上位3か所 | 9.5% | 10.9% |
| 上位5か所 | 13.3% | 16.4% |
| 上位10か所 | 20.9% | 26.5% |
| 上位20か所 | 31.1% | 36% |
| 上位50か所 | 45.5% | 49.4% |
| 上位100か所 | 55.7% | 61.4% |
関東は上位10か所で 20.9%、上位100か所でようやく 55.7%。 残り半分近くは、100 件に満たない勤務地に散らばっています。 上位 1,000 か所まで広げても 84.1% にしかなりません。
関西のほうが集中度は高く、上位10か所で 26.5%。 淀屋橋・大阪・中之島・新大阪・京橋の 5 か所で 16.4% を占めます。 ただし関西も 23,911 件が 1,882 種類に分かれていて、絶対的には散っています。
「地域で絞る」では候補が絞り込めない、というのがこの表の意味です。 関東で絞っても 14.6 万件が残り、その中身は 7,000 か所に散っている。 要員の通勤条件と突き合わせるには、駅の単位まで降りる必要があります。
関東の勤務地 上位20か所
| 順位 | 勤務地 | 件数 | 関東内シェア | 単価中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 品川 | 4,730 | 3.2% | 70万円 |
| 2 | 渋谷 | 4,645 | 3.2% | 80万円 |
| 3 | 豊洲 | 4,543 | 3.1% | 70万円 |
| 4 | 大崎 | 2,991 | 2.0% | 75万円 |
| 5 | 虎ノ門 | 2,464 | 1.7% | 80万円 |
| 6 | フルリモート | 2,460 | 1.7% | 75万円 |
| 7 | 新宿 | 2,269 | 1.6% | 74万円 |
| 8 | 大手町 | 2,213 | 1.5% | 90万円 |
| 9 | 東陽町 | 2,136 | 1.5% | 70万円 |
| 10 | 六本木一丁目 | 2,016 | 1.4% | 78万円 |
| 11 | 飯田橋 | 1,964 | 1.3% | 70万円 |
| 12 | 田町 | 1,799 | 1.2% | 74万円 |
| 13 | 浜松町 | 1,682 | 1.2% | 85万円 |
| 14 | 西新宿 | 1,680 | 1.2% | 90万円 |
| 15 | 赤坂 | 1,481 | 1.0% | 85万円 |
| 16 | 基本リモート | 1,467 | 1.0% | 85万円 |
| 17 | 川崎 | 1,239 | 0.8% | 65万円 |
| 18 | 神谷町 | 1,213 | 0.8% | 80万円 |
| 19 | 恵比寿 | 1,207 | 0.8% | 80万円 |
| 20 | 都内 | 1,189 | 0.8% | 90万円 |
1位の品川でも関東の 3.2%。 上位は品川・渋谷・豊洲・大崎と、大規模オフィスが集まる駅が並びます。
注目すべきは 6位に「フルリモート」(2,460件)、16位に「基本リモート」(1,467件) が入っていることです。これは駅名ではありません。次の節で扱います。
同じ関東で27万円の差
件数 700 件以上の勤務地に絞って、単価中央値の高い順・低い順に並べました。
| 高いほう | 件数 | 中央値 | 低いほう | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大手町 | 1,970 | 90万 | 勝どき | 965 | 63万 |
| 西新宿 | 1,503 | 90万 | 川崎 | 1,083 | 65万 |
| 浜松町 | 1,449 | 85万 | 品川シーサイド | 916 | 65万 |
| 赤坂 | 1,316 | 85万 | 池袋 | 725 | 65万 |
| 渋谷 | 4,034 | 80万 | 品川 | 3,960 | 70万 |
最高は大手町・西新宿の 90 万円、最低は勝どきの 63 万円。差は 27 万円です。 案件全体の単価中央値は 70 万円なので、大手町は 20 万円上、勝どきは 7 万円下になります。
そして件数の多い駅ほど単価が高いわけではありません。 最多の品川(3,960件)は 70 万円、3位の豊洲(3,744件)も 70 万円で、 いずれも全体の中央値と同じ。 一方 90 万円の大手町は 1,970 件、西新宿は 1,503 件と、量では中位です。
この差は土地の値段ではなく、その駅にどんな案件があるかです。 大手町・西新宿には金融系や上流寄りの案件が集まり、 豊洲・東陽町・品川シーサイドには大規模開発拠点の常駐案件が集まる。 工程と役割が単価をどれだけ動かすかは別の記事で分解しています。
勤務地欄に勤務形態が書かれている
勤務地に「リモート」という文字が含まれる案件は21,021 件、勤務地記載ありの 11.7% あります。 「フルリモート」「基本リモート」「フルリモート可(京都/長岡京)」といった値です。
これは記載ミスではなく、常駐先が無い案件では勤務地欄に書くことが無いという現実の反映です。 ただし集計上は「フルリモート」が関東で6番目に多い勤務地になってしまう。
実務上の意味は 2 つあります。 ひとつは勤務地で絞り込むと、リモート案件が漏れること。 「品川」で検索してもフルリモート案件は出てきません。 もうひとつは、リモート案件の単価は決して安くないこと—— フルリモート 75 万円、基本リモート 85 万円で、いずれも全体の中央値 70 万円を上回ります (SES案件のリモート比率)。
この数字の使い方
1. 「関東希望」を条件として扱わない
関東だけで 6,973 か所です。要員から聞くべきは地域ではなく、通える駅の範囲(最寄り駅と許容時間)。 地域で聞くと、候補が 14.6 万件のまま絞り込めません。
2. 単価の相場観を駅単位で持つ
同じ関東で 27 万円違います。「関東の相場は70万円」は、大手町の案件では低すぎ、勝どきの案件では高すぎる。 交渉の材料にするなら、勤務地を揃えた分布を出すべきです (単価交渉で使える材料)。
3. リモート案件を勤務地検索から外さない
勤務地欄の 11.7% が勤務形態で埋まっています。勤務地で絞る運用のままだと、2 万件超が検索から落ちます。 勤務形態は別項目として持ち、勤務地とは独立に絞り込めるようにしておく必要があります。
よくある質問
なぜ市区町村ではなく駅名で集計しているのですか?
案件メールの勤務地がそのまま駅名で書かれているからです。「品川」「豊洲」「淀屋橋」はいずれも駅名で、区名で書かれるほうが少数です。これはSESの案件が「常駐先の最寄り駅」で語られる実務を反映しています。ただし自由記述なので「品川」と「品川駅」「品川シーサイド」は別の値として数えられます。本文の数字も統合していません。
同じ関東で27万円も差が出るのはなぜですか?
勤務地が案件の性格の代理になっているためです。大手町・西新宿が90万円なのは金融系や上流工程の案件が集まるからで、豊洲・東陽町・品川シーサイドが70万円前後なのは大規模な開発拠点の常駐案件が多いからです。土地の値段が単価を決めているわけではなく、そこに何の案件があるかが単価を決めています。工程と役割で単価がどう動くかは別記事で分解しています。
勤務地の種類が7,000か所近くあるのは多すぎませんか?
自由記述のまま保持しているためです。「浜松町 または 田町」「三鷹駅から徒歩20分、またはバス7分」のような記載もそのまま1つの値になります。表記を強制的に寄せると元の条件が失われるので、Qasicaでは原文を保持したうえで検索側で吸収しています。種類数の多さは実態というより、書き方が揃っていないことの指標だと考えてください。
勤務地と勤務形態を別に持つ
Qasica は案件メールの勤務地を原文のまま保持しつつ、 地域と勤務形態(常駐/リモート可/フルリモート/ハイブリッド)を別の項目として抽出します。 勤務地の表記が揺れていても検索側で吸収するため、 「渋谷」で引いたときに「渋谷駅」の案件が落ちることはありません。
関連記事:地域別のSES需給 / SES案件のリモート比率 / 準委任と派遣で条件はどう違うか