単価・市場動向

準委任と派遣で条件はどう違うか|中央値の差は3万円、上位は10万円

#契約形態#商流#実データ
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執筆
Qasica 編集部

準委任と派遣、どちらの案件を取るべきか。 法的な違いは準委任契約とはで整理していますが、条件としてどれだけ違うのかは数えないと分かりません。 契約形態と商流が両方書かれている案件 91,352 件を単価と突き合わせました。

結論|差が出るのは中央値ではなく上限

  • 単価中央値は 準委任 70 万円 / 派遣 67 万円。差は 3 万円しかない
  • 一方、上位四分位は 85 万円 対 75 万円、90パーセンタイルは 100 万円 対 90 万円
  • 100 万円以上の案件は 準委任 14.7% / 派遣 7.1% でちょうど2倍
  • 60 万円未満は逆に 派遣 24.9% / 準委任 18.0%
  • 商流を広げた案件ほど単価が高い(準委任・貴社まで 70 万 → その他 76 万、100万以上は 14.1% → 40.8%)
  • 関西だけは 派遣 63 万 > 準委任 60 万 と逆転する

「準委任は高い」ではなく「準委任は上が開いている」。 中央値だけを見て契約形態を選ぶと、この差は見えません。

集計の条件

集計日 2026年9月22日/n 単価記載あり・20〜200万円の案件 93,682 件(準委任 79,736 / 派遣 13,946)。商流とのクロス集計は 76,609 件。除外:status が削除済みのもの、単価が 20 万円未満・200 万円超のもの (桁の誤記が混ざるため)、契約形態が「請負」(175件)「業務委託」(9件) など少数区分のもの。商流の「直」(4,276件) は抽出ルールの旧バージョンが出していた値で、 現在は使われていないため除外しました。 単価はレンジ記載の場合に上限を採用しています。この数字で分からないこと:契約形態が書かれているのは案件全体の57.4%(112,049 / 195,223 件)、商流は 75.4%(147,259 件)、 両方そろうのは 46.8% だけです。書かれていない案件がどちらに偏っているかは分かりません。 また工程・役割・経験年数を揃えていないため、ここに出る差は契約形態そのものの効果ではなく、契約形態ごとに集まる案件の種類の差を含みます。

契約形態で単価分布はどう違うか

契約形態件数下位四分位中央値上位四分位90%点100万以上60万未満
準委任79,73660708510014.7%18%
派遣13,946606775907.1%24.9%

下位四分位はどちらも 60 万円で同じ、中央値も 3 万円しか違いません。差が開き始めるのは上位四分位からです。 準委任 85 万円に対して派遣 75 万円、10 万円の差。

いちばん分かりやすいのは高単価帯の比率で、 100 万円以上の案件が準委任には 14.7% あるのに対し、派遣は 7.1% しかありません。 逆に 60 万円未満は派遣 24.9% に対して準委任 18.0%。派遣の分布は 60〜75 万円に密集していて、上にも下にも伸びていないということです。

これは「派遣だから買い叩かれている」という話ではありません。 高単価帯に多い PM・PMO・アーキテクトといった役割は 指揮命令になじまないため準委任で募集されます (工程と役割で単価はどう変わるかで、 役割の差が 30 万円あることを出しています)。 分布の違いは、その役割構成の違いが映ったものと読むのが妥当です。

商流を足すと何が見えるか

契約形態と商流を掛け合わせます。商流は「自社の下に何社まで挟んでよいか」の条件です (商流とは)。

契約形態商流条件件数下位四分位中央値上位四分位100万以上
準委任貴社まで62,24461708514.1%
準委任1社先まで1,03060759521.7%
準委任その他1,633607611040.8%
派遣貴社まで11,4276070756.7%
派遣1社先まで(参考値)13666.570765.9%
派遣その他(参考値)139546077.511.5%

準委任の側では、商流を広げた案件ほど単価が高いという関係がはっきり出ます。 貴社まで 70 万円 → 1社先まで 75 万円 → その他 76 万円。 100 万円以上の比率で見ると 14.1% → 21.7% → 40.8% と、3倍近く開きます。

これは「商流を深くすれば儲かる」という意味ではありません。逆です。貴社までで埋まらなかった案件が、商流を緩めて再募集されている。 条件が厳しく単価も高い案件ほど、中間マージンを許容してでも探すことになります。 単価の高さは難易度の代金であって、商流の代金ではありません。

対照的に、派遣側は商流でほとんど動きません。 貴社まで 70 万、1社先まで 70 万(n=136、参考値)。 派遣は法令上そもそも多重の再委託ができないので、 商流条件が価格の変数になっていない、と読めます。

「1社先まで」「その他」「2社先まで」はいずれも件数が少なく、 派遣 × 1社先まで(136件)と派遣 × その他(139件)は参考値です。 準委任 × 2社先まで(103件、中央値 85 万円)は件数が足りないため表から外しました。 商流条件の 92.8% は「貴社まで」に集中しており、それ以外は全部あわせても 1 割未満だという前提で読んでください (協力会社の開拓と条件の詰め方)。

関西では逆転する

地域別に契約形態の単価中央値を並べると、1か所だけ順序が入れ替わります。

地域準委任派遣準委任の件数派遣の件数
関東7067万68,67912,901
関西6063万6,565740
全国752,168
中部65731
東北62523
九州65360

関東は準委任 70 万 > 派遣 67 万と全体の傾向どおりですが、関西は準委任 60 万 < 派遣 63 万で逆転します。 関西の準委任は件数 6,565 件と十分あり、偶然ではありません。

関西の準委任が全国平均より 10 万円低いことのほうが、この表の主題です。 案件数では関東が圧倒的で、関西は案件より要員が多い需給になっています (地域別のSES需給)。供給が厚い地域では、契約形態の自由度が価格に効かなくなる、 という読み方ができます。

中部・東北・九州・全国は派遣の件数が 300 件に届かなかったため空欄にしています。 「全国」は勤務地が全国と書かれた案件で、地理的な地域区分ではありません。

この数字の使い方

1. 契約形態を単価の根拠に使わない

中央値の差は 3 万円です。「準委任だから高くしてほしい」は、この数字では支えられません。 交渉に使えるのは分布の上側、つまり 「この役割・この工程の準委任案件は 85 万円が上位四分位だ」という形の材料です (単価交渉で使える材料)。

2. 商流が緩い案件は、まず理由を疑う

準委任 × その他の 40.8% が 100 万円以上というのは目を引きますが、裏返せば「貴社まででは決まらなかった案件」です。 単価の高さに飛びつく前に、何度再送されているかを確認したほうがいい (案件情報はいつまで有効か)。

3. 未記載を「準委任」と決めつけない

契約形態が書かれているのは 57.4% だけです。 指揮命令の所在は契約形態で決まり、間違えると偽装請負の論点になります (偽装請負とは)。書かれていないものは、面談前に確認する項目として扱うのが安全です。

よくある質問

派遣のほうが単価が低いのはなぜですか?

この集計では中央値の差は3万円しかなく、低いというより「上が伸びない」のが実態です。100万円以上の案件は準委任が14.7%に対して派遣は7.1%で、ちょうど半分。派遣は指揮命令を受けて定型的な業務にあたる案件が多く、高単価帯に多い設計・PM系が準委任に寄っているためと考えられます。ただし本データには工程や役割を揃えた比較は含まれていないので、契約形態そのものの効果とは言い切れません。

商流が深いほうが単価が高いのは矛盾していませんか?

見かけ上はそう見えますが、因果が逆です。商流を「1社先まで」「その他」と広げて募集する案件は、貴社までで埋められなかった案件、つまり条件が厳しく単価も高い案件が中心です。発注側が中間マージンを許容してでも人を探している状態なので、提示単価が上がります。商流を深くすれば手取りが増える、という意味ではありません。

契約形態が書かれていない案件はどう扱えばいいですか?

案件19.5万件のうち契約形態が書かれているのは57.4%で、4割超は未記載です。SES業界では準委任が既定と見なされることが多く、書かれていない案件の多くは準委任と推測されますが、推測のまま進めると偽装請負の論点で困ります。指揮命令が誰にあるかは契約形態で決まるので、面談前に確認する項目に入れておくべきです。

契約形態と商流で絞り込む

Qasica は案件メールから契約形態・商流・単価レンジを個別の項目として抽出し、 未記載であれば未記載のまま保持します。 「商流が貴社まで、かつ準委任、かつ 80 万円以上」のような条件で案件を絞り込めるほか、 自社の実効商流で取れない案件を候補から外すこともできます。

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