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「客先常駐はやめとけ」は本当か|言われる理由を分解する

#客先常駐#働き方
公開
読了
約7分
執筆
Qasica 編集部
目次(5節)
  1. 016つの理由に分解する
  2. 02構造的で避けにくいもの
  3. 03会社選びで避けられるもの
  4. 04事実ではないもの
  5. 05見極めるための質問

「客先常駐はやめとけ」は、理由がまとめて語られることが多く、 そのままでは判断材料になりません。この記事では理由を6つに分解し、構造的で避けにくいもの / 会社選びで避けられるもの / そもそも事実でないものに分けます。

この記事を書いているのは SES 事業者向けツールの運営会社です。 客先常駐を勧める立場でも否定する立場でもなく、転職サービスでもありません。 手元のデータと公的情報で事実を整理することが、この記事でできることです。

6つの理由に分解する

言われる理由分類
商流が深いと手取りが減る構造的
所属会社への帰属意識が持ちにくい構造的
スキルが身につかない会社選びで避けられる
指示系統が曖昧会社選びで避けられる
評価されにくい会社選びで避けられる
3年で現場を変わらされる事実ではない

構造的で避けにくいもの

1. 商流が深いと手取りが減る

間に会社が入るほど、エンドユーザーの支払額に対して自分の所属会社に入る金額は減ります。 実データでは、同じ経験5〜10年でも1社挟むと発注側の支払いが約5万円多くなり、 その差はエンジニア本人ではなく間の会社に渡ります。

所属件数中央値
1社先12,74270万円
自社社員23,99665万円
グループ会社1,18555万円

これは客先常駐そのものというより多重下請け構造の問題ですが、 商流の浅い会社を選ぶ以外に個人で対処する方法がないため、構造的に分類しました。

2. 所属会社への帰属意識が持ちにくい

自社に出社しないため、同僚との接点も、評価者との接点も減ります。 リモート案件が増えたことでさらに希薄になりました。 社内イベントや1on1で補っている会社もありますが、出社型と同じにはなりません。

会社選びで避けられるもの

3. スキルが身につかない

客先常駐という形態の問題ではなく、その会社がどういう案件を取れているかの問題です。 上流から入れる案件を継続的に取れる会社もあれば、テスト工程の人員補充ばかりの会社もあります。 面談で直近の案件の担当工程を聞けば、ある程度は分かります。

4. 指示系統が曖昧

準委任契約では、指示を出すのは所属会社の管理者であって客先ではありません。 ここが守られていない会社では「どちらの指示に従えばいいか分からない」状態になります。

これは単なる働きにくさではなく、偽装請負にあたる可能性があります。 とくに1人で常駐していて、その人が管理責任者を兼ねている場合は、 厚生労働省の疑義応答集が明確に偽装請負と判断されるとしています。

5. 評価されにくい

現場での働きぶりを所属会社が直接見られないためです。 客先からのフィードバックを定期的に取って評価に反映している会社もあります。 評価の仕組みを面談で聞いてください。

事実ではないもの

6. 3年で現場を変わらされる

準委任契約には期間制限はありません。3年ルールは労働者派遣法の期間制限(抵触日)で、労働者派遣に適用されるものです。

むしろ「3年で交代」と言われたなら、その契約は労働者派遣かもしれません。契約形態によって、誰の指示を受けるべきかが変わります。 自分の契約がどちらなのかは確認する価値があります。

見極めるための質問

面談で次を聞けば、上の6つのうちどれに当たる会社かが概ね分かります。

  1. 契約形態は準委任か派遣か — 即答できない会社は避ける
  2. エンドユーザーまで何社入るか — 商流の深さ
  3. 直近3案件の担当工程 — 上流から入れているか
  4. 現場での管理責任者は誰か — 1人常駐で自分が兼任する形になっていないか
  5. 単価をいくらで出しているか — 開示するかどうかも情報になる
  6. 評価は誰がどう行うか

よくある質問

客先常駐は本当にやめたほうがいいですか?

一律には言えません。「やめとけ」と言われる理由は6つほどに分解でき、そのうち構造的で避けにくいのは2つです。残りは会社の選び方で避けられるものと、そもそも事実でないものです。自分にとってどれが問題かを切り分けて判断してください。

客先常駐だとスキルが身につかないのは本当ですか?

案件の選び方によります。上流工程から入れる案件を継続的に取れる会社もあれば、テスト工程の人員補充ばかりの会社もあります。客先常駐という形態の問題ではなく、その会社がどういう案件を取れているかの問題です。面談で直近の案件の工程を聞くと分かります。

客先常駐は3年で現場を変わる必要がありますか?

準委任契約であれば期間制限はありません。3年ルールは労働者派遣法の期間制限で、労働者派遣に適用されるものです。「3年で交代」と言われるなら、その契約は労働者派遣かもしれません。

参考にした公的統計・法令

本文の数字のうち、公的統計と比較できるものは下記を参照しています。 リンク先はいずれも発行元の原典です。

  1. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査(産業別にみた賃金)」2026年3月24日
    • 情報通信業の賃金 40.6万円(男女計・年齢計、前年比 +3.8%)
    • 同 平均年齢 40.2歳 / 平均勤続 12.3年

    所定内給与額。本人の給与であり、取引上の単価ではない

  2. 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)参考統計表」2026年4月28日
    • 情報処理・通信技術者の有効求人倍率 1.39(職業計 1.10)
    • 前年同月差 −0.22ポイント

    ハローワークの求人・求職が母数。SES の取引は基本的に載らない

  3. 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」2019年4月
    • 2030年のIT人材の需給ギャップ 中位45万人(高位79万人・低位16万人)
    • 2018年時点のギャップ 22万人

    2019年時点の推計。「2030年に79万人不足」はこの高位シナリオの数字

この記事について

数字は、実際に流通している要員情報を集計したものです(2026年9月19日時点)。 Qasica は SES 営業向けのツールで、転職の斡旋は行っていません。

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