案件と要員のマッチングを、AIではなくルールで判定している理由
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- 執筆
- Qasica 編集部
Qasica のマッチングは 40 本のルールで動いています。 情報を読み取る部分には LLM を使っていますが、どの要員を提案するかの判定はルールです。 学習型も実装して比較したうえで、この形にしています。
なぜルールベースなのか
1. 理由が言えるから
営業が提案するとき、「なぜこの人なのか」を相手に説明する必要があります。 ルールなら「商流が合う・必須スキルを満たす・単価が予算内」と分解して言えます。 スコアだけが出る仕組みでは、提案の根拠になりません。
2. 間違ったときに直せるから
合わない候補が出たとき、ルールならどの条件が緩いのかを特定して直せます。 学習型は再学習が必要で、直したつもりが別のところで崩れることがあります。
3. 正解データが足りないから
学習には「この提案は正しかった」という記録が要ります。 実際の成約結果は記録されている件数が少なく、学習に使える正例がほぼありません。データが無いところで学習型を使うと、それらしいだけの結果が出ます。
足切りと加点を分ける
マッチングは 2 段階です。ここを混ぜると使えない候補が上位に来ます。
- 足切り — 条件を満たさない組み合わせを除く。満たすか満たさないかの判定
- 加点 — 残った候補を、合致度の高い順に並べる
スコアだけで並べると、商流が合わない要員が「スキルが完璧だから」という理由で 1 位に来ます。それは提案できないので、先に除く必要があります。
足切りに使う条件
| 条件 | なぜ足切りなのか |
|---|---|
| 商流 | 記載のある案件の 92.8% が「貴社まで」。合わなければ提案自体ができない |
| 勤務形態 | 常駐案件にフルリモート希望の要員は入れない。フルリモート案件は全体の 12.5% |
| 単価 | 予算を超える要員は検討されない |
| 地域・通勤 | 通えない距離は成立しない。リモート可否と合わせて判定する |
| 必須スキル | 「必須」と書かれているものは満たす必要がある |
| 参画可能時期 | 案件の開始時期に間に合わない要員は出さない |
| 外国籍・フリーランスの可否 | 案件側が受け入れ条件を指定している場合がある |
商流・リモート比率の数字は Qasica 集計(2026年9月時点)。詳細は商流とは とリモート比率 に書いています。
加点の考え方
足切りを通った候補を、次のような観点で並べます。
- 必須スキルの合致数 — 何個満たしているか
- 歓迎スキルの合致 — 満たさなくてよいが、あると強い
- 担当できる工程の重なり — 上流から入れるか
- 役割の一致 — PM を求める案件に PG を出しても通らない
- 業務領域の一致 — 開発 / インフラ / テスト / サポート / PM・PMO などの大分類
- 経験年数 — 要求年数に対する余裕
- 情報の新しさ — 古い要員情報は稼働状況が変わっている可能性が高い
加点は減点に使いません。「AI 関連のスキルを持っている」は加点しますが、持っていないことを減点はしません。 減点にすると、その軸を持たない候補が理由もなく沈みます。
学習型を試した結果
ルールベースが最初から答えだったわけではありません。 学習型のランキング(LambdaMART / CatBoost)を実装し、 専門家の評価で比較しました。
| 手法 | 専門家評価 | 無関係候補を混ぜたときの頑健さ |
|---|---|---|
| ルールベース | 同等 | 崩れない |
| 学習型ランキング | 同等〜わずかに上 | 大きく崩れる |
同一案件・同一評価者の条件では、学習型は指標上わずかに上回ることがありました。 しかし明らかに無関係な候補を母集団に混ぜると、学習型は判定が崩れました。 ルールベースは同じ条件でも安定していました。
実務では、母集団は常に雑多です。だから平均的に少し良いより崩れないほうを選びました。学習型は、不適合な候補を除いた 候補集合に限って補助的に使っています。
できないこと
- 成約するかは分かりません — 条件が合うところまでです。 成約率の目安も出していません。記録されている実績が少なく、 出せる水準の数字がないためです
- 書かれていない条件は判定できません — 契約形態は案件の 57.4% にしか書かれていません。 「記載なし」は足切りせず、確認が必要な項目として残します
- 人の相性は判定できません — 面談で決まる部分は範囲外です
よくある質問
AIでマッチングしているのではないのですか?
案件と要員の情報を読み取る部分はLLMを使っていますが、どの要員を提案するかの判定はルールで行っています。40本のルールが足切りと加点を担当します。学習型のランキングも実装して比較しましたが、専門家評価で優位が出なかったため本番はルールベースにしています。
なぜ学習型を使わないのですか?
評価用の正解データが足りないためです。実際の成約結果は、記録が残っている件数が少なく、学習に使える正例がほぼありません。無関係な候補を混ぜた条件で検証すると、学習型は判定が大きく崩れました。ルールベースは同じ条件でも安定していました。
自社のルールを足せますか?
できます。取引先ごとの条件や、自社で使っている判断基準をカスタムルールとして追加できます。
この記事について
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