仕組みと運用

案件と要員のマッチングを、AIではなくルールで判定している理由

#プロダクト#マッチング
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読了
約8分
執筆
Qasica 編集部
目次(6節)
  1. 01なぜルールベースなのか
  2. 02足切りと加点を分ける
  3. 03足切りに使う条件
  4. 04加点の考え方
  5. 05学習型を試した結果
  6. 06できないこと

Qasica のマッチングは 40 本のルールで動いています。 情報を読み取る部分には LLM を使っていますが、どの要員を提案するかの判定はルールです。 学習型も実装して比較したうえで、この形にしています。

なぜルールベースなのか

1. 理由が言えるから

営業が提案するとき、「なぜこの人なのか」を相手に説明する必要があります。 ルールなら「商流が合う・必須スキルを満たす・単価が予算内」と分解して言えます。 スコアだけが出る仕組みでは、提案の根拠になりません。

2. 間違ったときに直せるから

合わない候補が出たとき、ルールならどの条件が緩いのかを特定して直せます。 学習型は再学習が必要で、直したつもりが別のところで崩れることがあります。

3. 正解データが足りないから

学習には「この提案は正しかった」という記録が要ります。 実際の成約結果は記録されている件数が少なく、学習に使える正例がほぼありません。データが無いところで学習型を使うと、それらしいだけの結果が出ます。

足切りと加点を分ける

マッチングは 2 段階です。ここを混ぜると使えない候補が上位に来ます。

  1. 足切り — 条件を満たさない組み合わせを除く。満たすか満たさないかの判定
  2. 加点 — 残った候補を、合致度の高い順に並べる

スコアだけで並べると、商流が合わない要員が「スキルが完璧だから」という理由で 1 位に来ます。それは提案できないので、先に除く必要があります。

足切りに使う条件

条件なぜ足切りなのか
商流記載のある案件の 92.8% が「貴社まで」。合わなければ提案自体ができない
勤務形態常駐案件にフルリモート希望の要員は入れない。フルリモート案件は全体の 12.5%
単価予算を超える要員は検討されない
地域・通勤通えない距離は成立しない。リモート可否と合わせて判定する
必須スキル「必須」と書かれているものは満たす必要がある
参画可能時期案件の開始時期に間に合わない要員は出さない
外国籍・フリーランスの可否案件側が受け入れ条件を指定している場合がある

商流・リモート比率の数字は Qasica 調査(2026年9月時点)。詳細は商流とは とリモート比率 に書いています。

加点の考え方

足切りを通った候補を、次のような観点で並べます。

  • 必須スキルの合致数 — 何個満たしているか
  • 歓迎スキルの合致 — 満たさなくてよいが、あると強い
  • 担当できる工程の重なり — 上流から入れるか
  • 役割の一致 — PM を求める案件に PG を出しても通らない
  • 業務領域の一致 — 開発 / インフラ / テスト / サポート / PM・PMO などの大分類
  • 経験年数 — 要求年数に対する余裕
  • 情報の新しさ — 古い要員情報は稼働状況が変わっている可能性が高い

加点は減点に使いません。「AI 関連のスキルを持っている」は加点しますが、持っていないことを減点はしません。 減点にすると、その軸を持たない候補が理由もなく沈みます。

学習型を試した結果

ルールベースが最初から答えだったわけではありません。 学習型のランキング(LambdaMART / CatBoost)を実装し、 専門家の評価で比較しました。

手法専門家評価無関係候補を混ぜたときの頑健さ
ルールベース同等崩れない
学習型ランキング同等〜わずかに上大きく崩れる

同一案件・同一評価者の条件では、学習型は指標上わずかに上回ることがありました。 しかし明らかに無関係な候補を母集団に混ぜると、学習型は判定が崩れました。 ルールベースは同じ条件でも安定していました。

実務では、母集団は常に雑多です。だから平均的に少し良いより崩れないほうを選びました。学習型は、不適合な候補を除いた 候補集合に限って補助的に使っています。

できないこと

  • 成約するかは分かりません — 条件が合うところまでです。 成約率の目安も出していません。記録されている実績が少なく、 出せる水準の数字がないためです
  • 書かれていない条件は判定できません — 契約形態は案件の 57.4% にしか書かれていません。 「記載なし」は足切りせず、確認が必要な項目として残します
  • 人の相性は判定できません — 面談で決まる部分は範囲外です

よくある質問

AIでマッチングしているのではないのですか?

案件と要員の情報を読み取る部分はLLMを使っていますが、どの要員を提案するかの判定はルールで行っています。40本のルールが足切りと加点を担当します。学習型のランキングも実装して比較しましたが、専門家評価で優位が出なかったため本番はルールベースにしています。

なぜ学習型を使わないのですか?

評価用の正解データが足りないためです。実際の成約結果は、記録が残っている件数が少なく、学習に使える正例がほぼありません。無関係な候補を混ぜた条件で検証すると、学習型は判定が大きく崩れました。ルールベースは同じ条件でも安定していました。

自社のルールを足せますか?

できます。取引先ごとの条件や、自社で使っている判断基準をカスタムルールとして追加できます。

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