案件が求める必須スキルは何個か|中央値3個、8個を超えると再送が増える
- 公開
- 読了
- 約8分
- 執筆
- Qasica 編集部
案件メールに並ぶ「必須スキル」を全部満たす要員は、実際にはほとんどいません。 ではどこまで満たせば提案していいのか。 案件19.3万件の必須スキル数を数えて、判断の基準になる分布を出しました。
結論|中央値3個、5個以下で84.2%
- 必須スキルの記載がある案件は 98.8%(192,797件)。平均3.73個、中央値3個
- 1〜3個で 56.6%、5個以下で 84.2%
- 必須が増えるほど単価中央値は上がる(3個 70万円 → 8個 80万円)
- 同時に再送率も上がる(1個 58.3% → 8個以上 67.7%)
必須スキルが多い案件は「高いが、埋まっていない」。 これが一番はっきり出た関係です。
必須スキル数の分布
| 必須スキル数 | 案件数 | 割合 | 分布 |
|---|---|---|---|
| 1個 | 27,821 | 14.4% | |
| 2個 | 40,141 | 20.8% | |
| 3個 | 41,064 | 21.3% | |
| 4個 | 31,778 | 16.5% | |
| 5個 | 21,442 | 11.1% | |
| 6個 | 11,214 | 5.8% | |
| 7個 | 7,015 | 3.6% | |
| 8個 | 4,196 | 2.2% | |
| 9個 | 2,290 | 1.2% | |
| 10個以上 | 5,836 | 3% |
集計日 2026年9月22日/案件 195,223 件のうち、必須スキルが1個以上抽出できた 192,797 件(98.8%)が対象。 必須スキルは案件メールの本文から抽出した配列の要素数で数えています。この数字で分からないこと:抽出の精度 (本文に書かれていても表記が崩れていれば拾えません)、 「Java」と「Java8以上」のような粒度の差(別の要素として数えています)、 再送の除外(同じ案件が複数回数えられています)。
山は 2〜4個(合わせて58.6%)にあります。 10個以上並べてくる案件も5,836件(3.0%)ありますが、これは全体の30分の1です。
実務的には、要員側が3個当たっていれば「典型的な案件の必須を満たしている」と言えます。 どの技術が多く出るかはSES案件のスキル需給ランキングに、 技術ごとの単価差は技術スタック別のSES単価にまとめています。
歓迎スキルは3割の案件に無い
歓迎スキル(あれば尚可)の記載がない案件は 59,561 件、全体の 30.5% でした。 1〜3個が 90,921 件(46.6%)で、こちらも必須と同じく少数に集中しています。
必須と歓迎が両方書かれている案件では、歓迎のほうに「業務ドメイン」や「英語」が入っていることが多いのが実務上の感覚ですが、 この集計では内容までは分類していません。
必須が多いほど単価は上がる
| 必須スキル数 | 件数 | 単価中央値 |
|---|---|---|
| 1個 | 18,595 | 70万円 |
| 2個 | 27,602 | 70万円 |
| 3個 | 29,897 | 70万円 |
| 4個 | 22,500 | 72万円 |
| 5個 | 14,896 | 75万円 |
| 6個 | 8,182 | 75万円 |
| 7個 | 5,099 | 75万円 |
| 8個 | 3,085 | 80万円 |
| 9個 | 1,721 | 73万円 |
| 10個以上 | 4,682 | 75万円 |
上限単価(max_unit_price)が 20〜200万円の範囲にあるものだけで中央値を取りました。 単価の記載がある案件は全体の 77.9% です。 9個の 73万円だけ並びから外れていますが、n=1,721 と小さく、1〜3個と5個以上のあいだに5万円の段差があると読むのが妥当です。
1〜3個はすべて 70万円で横ばい、4個で 72万円、5個以降は 75万円、8個で 80万円。必須3個までは単価が動かないのが特徴です。 「必須を2個から3個に増やしても単価は上がらない」と読めます。
同時に、再送率も上がる
単価だけ見れば「必須が多い案件は良い案件」ですが、同じ切り口で再送率を見ると別の面が出ます。
| 必須スキル数 | 件数 | 再送と判定された割合 |
|---|---|---|
| 1個 | 27,821 | 58.3% |
| 2個 | 40,141 | 59.5% |
| 3個 | 41,064 | 61.1% |
| 4個 | 31,778 | 62% |
| 5個 | 21,442 | 63.2% |
| 6個 | 11,214 | 61.6% |
| 7個 | 7,015 | 64.6% |
| 8個以上 | 12,322 | 67.7% |
ここでの「再送」は、同じ送信者から同じ本文が届いたと判定されたもの(重複フラグ)です。この数字で分からないこと:再送の理由。 「埋まらないから再送している」のか、 「もともと複数の宛先に一斉配信していて、そのうち条件の細かい案件が多かった」のかは区別できません。 再送の66%は6日以内に止まることが別集計で分かっているので、 後者の影響もそれなりにあります (案件の鮮度)。
1個 58.3% → 8個以上 67.7%。9.4ポイントの差があります。 必須が細かい案件ほど、同じ内容が何度も回ってくる、という関係です。
ここから言えるのは、必須が多い案件は「単価は高いが、決まりにくい」ということ。 単価だけで優先順位を決めると、長く回っている案件に時間を使うことになります。
必須が多い案件の読み方
1. 8個以上は「一致」ではなく「近さ」で判断する
8個以上並ぶ案件は12,322件。全部当たる要員を探していたら提案は出せません。 再送率が67.7%あるということは、他社も当てられていないということです。 主要な3〜4個が当たっていれば、足りない部分を明記して出したほうが結果的に速くなります。
2. 3個までは単価が動かないので、条件交渉の余地が薄い
必須1〜3個の案件は単価中央値が同じ70万円です。 「うちの要員はこれもできます」と足しても、この帯では単価に反映されにくい。 単価を動かしたいなら、単価交渉で使える材料にあるとおり 開始時期や商流のほうが効きます。
3. 必須の書かれ方で案件の出どころが読める
必須が10個以上並ぶ案件は、エンド企業の要件定義書がそのまま流れてきている場合があります。 この層は商流が深いことが多く、商流の確認を先にしたほうが無駄が減ります。
よくある質問
必須スキルが多い案件は避けるべきですか?
避ける理由にはなりません。8個以上の案件でも単価中央値は80万円で最も高く、要員の側が本当に該当するなら通る可能性があります。ただし再送率が67.7%と高く、他社も含めて長く回っている可能性が高いので、優先順位は下げたほうが時間あたりの効率は良くなります。
必須スキルが1個だけの案件は条件が緩いということですか?
そうとは限りません。メールに書かれたスキルを抽出した結果なので、「本文にはJavaとしか書いていないが、面談で細かい条件が出てくる」ケースと区別できません。必須1個の案件は27,821件(14.4%)ありますが、これは『条件が1つしかない案件』ではなく『条件が1つしか書かれていない案件』です。
歓迎スキル(optional)は見なくていいですか?
案件の30.5%には歓迎スキルの記載がありません。記載がある案件では、必須を満たしたうえで歓迎スキルに当たるものがあれば提案文に書く価値があります。ただし歓迎スキルの有無で単価が変わるかは、この集計では取っていません。
必須スキルで案件を絞る
Qasica は案件メールから必須スキルと歓迎スキルを分けて抽出し、 要員のスキルと突き合わせて「何個当たっているか」を出します。 全部一致する要員を探すのではなく、近い順に並べるので、 必須が8個ある案件にも提案の候補が出ます。
関連記事:SES案件のスキル需給ランキング / 案件メールの読み方 / 案件の鮮度