SES営業とは|仕事内容と、数字で見る1日の実態
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- Qasica 編集部
SES営業の説明は「案件と要員をマッチングする仕事」で止まっているものがほとんどです。 それだと1日に何を処理しているのかも、なぜ「きつい」と言われるのかも分かりません。 ここでは案件 195,366 件・要員 175,093 件の集計で、扱う情報の実態を数字にします。
SES営業とは
SES営業は、自社や協力会社のエンジニアを、他社の案件に提案して契約まで運ぶ仕事です。 物を売る営業と違い、売るものが人なので、在庫(稼働可能なエンジニア)と需要(案件)の両方が毎日入れ替わります。
ここが一番の特徴です。今日提案できる要員は明日には決まっているかもしれず、 今日届いた案件は明日には募集が終わっているかもしれない。鮮度が価値を決めるので、判断が遅いだけで機会が消えます。
4つの仕事
| 仕事 | 中身 | 難しさの出どころ |
|---|---|---|
| 情報収集 | 取引先から届く案件・要員のメールを読み、条件を把握する | 61.3%が再送。重複を判別しないと件数を見誤る |
| マッチング | 案件の条件と手元の要員を突き合わせる | スキル・単価・商流・勤務地・参画時期が全部一致して初めて提案できる |
| 提案・調整 | スキルシートを送り、面談を設定する | 条件が書かれていない項目を確認して埋める必要がある |
| 契約・稼働後の管理 | 契約形態の確認、稼働中のフォロー、更新の判断 | 準委任か派遣かで指揮命令の扱いが変わる |
最初の1か月で覚えることは新人向けの記事に分けてあります。
扱う情報の量と質
SES営業の負荷は「メールの量」だと言われがちですが、実際に効いているのはその情報がそのままでは使えないことです。
| 何が起きているか | 割合 | 影響 |
|---|---|---|
| 届く案件のうち、同じ送信者からの再送 | 61.3% | 件数をそのまま数えると3倍近く多く見える |
| 届く要員のうち、再送 | 79.3% | 要員は決まるまで送られ続けるため案件より高い |
| 案件に契約形態が書かれている | 57.4% | 残りは確認しないと分からない |
| 案件に商流条件が書かれている | 75.4% | 書かれていなければ提案してから弾かれる |
一方で、必須スキルはほぼ必ず書かれています。記載率を並べると、読み取りやすい項目と、そうでない項目がはっきり分かれます。
集計日 2026年9月22日/案件 195,366 件・要員 175,093 件(status が削除済みのものを除く)。 「再送」は同一の送信者から短期間にほぼ同一の本文で届いたものを指し、 レコード単位の割合です(同じ内容が6通届けば5通を再送と数えます)。
提案が通らない3つの壁
条件が1つでも外れると提案できません。実データで壁の高さが分かるものを3つ挙げます。
- 商流 — 商流条件が書かれた案件の 92.8% が「貴社まで」です。 間に会社を挟む提案は最初から受け付けられません。 自社社員以外を提案する場合、ここでほとんどが止まります (商流とは)
- 単価 — 案件の提示上限の中央値は70万円、 要員の希望単価の中央値は68万円。分布はほぼ重なっているので、平均的に高い・安いという話はできません。 効くのは条件を1つ変えたときに何万円動くかで、 商流を1段許すと約5万円、役割が上がると差はさらに大きくなります (単価交渉で使える材料)
- 参画時期 — 要員の稼働可能日が年月で書かれているもののうち、76.9%は集計時点ですでに過去の月でした。 古い情報のまま提案すると、面談まで進んでから差し戻されます (要員情報はいつまで使えるか)
「きつい」と言われる理由を分解する
検索するとほぼ必ず出てくる言葉なので、数字で分解できる範囲で整理します。 感想ではなく、上で出した分布に対応する形で書きます。
| 言われること | 数字で見るとどうか |
|---|---|
| メールが多すぎる | 件数そのものより61.3%が再送である点が効く。重複の判別を人がやると、読む量に対して残る情報が少ない |
| 条件が合わず提案が通らない | 商流条件の92.8%が「貴社まで」。自社社員以外は構造的に通りにくい |
| 情報が古くて差し戻される | 年月で書かれた稼働可能日の76.9%が過去の月。鮮度の確認を省くと後工程で戻る |
| 確認事項が多い | 契約形態が書かれているのは57.4%。残りは問い合わせないと埋まらない |
共通しているのは、判断そのものより判断の前処理に時間がかかることです。 重複の判別・条件の抽出・鮮度の確認は、どれも決まった手順で処理できる作業です。
向いている人
- 条件を機械的に突き合わせられる人 — スキル・単価・商流・勤務地・時期のどれか1つでも外れたら提案しない、を徹底できるか
- 情報の鮮度を疑える人 — スキルシートの中身より先に、いつ届いた情報かを見る習慣があるか
- 人に興味がある人 — 売っているのは人なので、エンジニア側の希望を聞けないと同じ人を何度も外す
逆に、飛び込みや新規開拓が得意というタイプの強みは、 SES営業ではあまり活きません。取引先はすでにあり、 日々の勝負は届いた情報をどれだけ正確にさばけるかに寄っているためです。
この数字で分からないこと
- 年収・待遇。営業職の年収を集計できるデータを持っていません
- 成約率。提案の結果(成約・不成約)が十分な量で蓄積されておらず、出せる水準の数字がありません
- 会社ごとの差。取引先の数や扱う案件の性質で業務量は大きく変わりますが、会社単位の比較はしていません
- 1日あたりの処理件数。会社によって桁が変わるため、代表値として出せる数字がありません
よくある質問
SES営業に IT の知識は必要ですか?
深い実装知識は要りませんが、必須スキルの読み分けは要ります。案件の98.8%に必須スキルが書かれていて、ここを読み違えると提案がそのまま外れます。たとえば Java と JavaScript、React と React Native が別物だと分かる程度は最低限必要です。案件で最も多い必須スキルは Java(15,971件)、次いで AWS、SQL、Python でした。
SES営業と人材派遣の営業は違いますか?
扱う契約が違います。SES営業は準委任契約が中心で、指揮命令は自社に残ります。派遣営業は労働者派遣契約なので、指揮命令が派遣先に移り、許可や抵触日の管理が発生します。実データでは契約形態が書かれた案件の83.9%が準委任、15.7%が派遣でした。両方扱う会社が多いので、案件ごとにどちらかを見る必要があります。
1日にどれくらいの案件を見るのですか?
会社の取引先の数で大きく変わるため一律には言えませんが、届く案件のうち61.3%は同じ送信者からの再送です。「今月3,000件届いた」という数字は、重複を除くと実質1,160件程度を意味します。件数をそのまま処理量だと考えると、実態より多く見積もることになります。
SES営業の平均年収はいくらですか?
この記事では扱いません。営業職の年収を集計できるデータを持っておらず、公的統計にも SES営業という職種区分が無いためです。参考として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査では情報通信業全体の賃金が40.6万円(所定内給与額、令和7年)です。これは業界全体の数字で、営業職に限ったものではありません。
参考にした公的統計・法令
本文の数字のうち、公的統計と比較できるものは下記を参照しています。 リンク先はいずれも発行元の原典です。
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査(産業別にみた賃金)」
- 情報通信業の賃金 40.6万円(男女計・年齢計、前年比 +3.8%)
- 同 平均年齢 40.2歳 / 平均勤続 12.3年
所定内給与額。本人の給与であり、取引上の単価ではない
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)参考統計表」
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率 1.39(職業計 1.10)
- 前年同月差 −0.22ポイント
ハローワークの求人・求職が母数。SES の取引は基本的に載らない
- 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)」
前処理を減らす
重複の判別・条件の抽出・鮮度の確認は、決まった手順で処理できる作業です。 Qasica はメールと LINE で届く案件・要員の情報を自動で構造化し、 再送を判定して1件にまとめたうえで、条件の合う組み合わせを提案します。
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